犬の躾や訓練に体罰はいらない!! その3

帰国後、関東の補助犬育成協会に就職します


そこでも食べ物を使って介助犬、聴導犬の候補犬達を訓練していくのですが
わたしの頭の中にアメリカで出会った犬達や補助犬協会で訓練している
犬達は「穏やかな性格だから」「子犬期からプロが訓練しているから」
だから食べ物を使った訓練方法で通用する
という思いが残ります


既に噛む犬、物を守る犬はどうやって訓練するのか?答えはみつかってません


「 補助犬訓練士は家庭犬や問題犬の訓練はできない 」と言います
まったくその通りだ!と認めていました



そして6年前、愛媛に帰省し独立します
そこで補助犬だけでなく家庭犬と関わるようになり
自分の知識や技術に限界を感じ
犬の行動学や生態、クリッカーなど学び始めました


独立した当初は「食べ物」を使った躾でしたが
犬が噛んできた時には「ここで負けてはだめ!」と押さえ込みをしていました


飼い主さんの負担を早く減らしたい!と
大きな音で怖がらせたり、スパイクカラーも使いました


どうして体罰に走るのか?
今なら答えが解ります

知識がなかったからです

この2年でわたしは犬の行動学や本能、カーミングシグナルの意味
新しいことを学びました

今ならベルの拾い食いや鼻の皺寄せも原因がわかり
良い関係に修復できます

診察室で暴れる犬をどうすればよいのか
院長に説明できます


食べ物に興味を示さない犬達の理由も
理解することができます


知識があれば体罰に頼る必要はなくなるのです



体罰を否定する訓練士の中には
わたしと同じように、以前は体罰を使っていた人がたくさんいます
その中で矛盾や疑問を感じ、新しい知識を学び、試し
犬達に負担なく、学習できていると実感しているんです



どうして犬の躾や訓練に体罰をつかう事が肯定されやすいのか
どうして「犬に見下された」「下に思っている」の考えがなくならないのか


理由は人にとって楽だからです
あのプロフェッショナルの訓練士もそうですが
全ての理由を「人をバカにしている」にすれば
これほど人間にとって楽なことはありません



犬の躾や訓練に体罰はいらない!なぜなら
人が犬に正しい行動を教えていないから
犬は何をすべきか知らないのです


わたしは今、生後3か月のダウニーに人と生活するために
必要な躾を教えています


電気コードや絨毯は噛まないこと
排泄はシーツですること
わたしの腕を噛むのではなく、ナイラボーンを噛むこと
フードが欲しい時は、垂直飛びではなく座ること
ハウスの中は快適であること
アポロの食べ物をとらないこと
人間はダウニーの食べ物を取らないこと、だから守る必要がないこと
人間はダウニーの宝物を奪わないこと、だから守る必要がないこと
ブラシはオモチャじゃないこと
ブラッシングを苦痛にかんじさせないこと
机の上に手をかけないこと、

他にもたくさんありますが、これらを繰り返し繰り返し
教えるのです。 



そして、一番教えなければいけないことは


人間はダウニーを絶対に傷つけないこと
人間はダウニーを愛していること、だから安心して傍においで
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みなさんも、ワンちゃんが言う事を聞いてくれない時
みなさんを困らせる時、正しい行動を自分が教えているのだろうか?
叱る前によーーく考えてみてください
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犬の躾や訓練に体罰はいらない!! その2

新しい犬の躾方法を学べるとワクワクして

大阪までセミナー受講に通います

そこで学んだ方法は「食べ物」を使って犬に行動を教える方法でした


しかし「権勢症候群/アルファシンドローム」の考え方はそのままでした


さっそく新しい訓練方法を取り入れますが、食べ物が意味をなさない状況にたくさん遭遇します
鼻に皺をよせ唸っている時に、食べ物を見せても興味をしめしてくれません
拾い食いした時、食べ物を見せても口から取ることはできません、口から離してもくれません
グイグイ引っ張っている犬やワンワン吠えまくってる犬に食べ物を見せても興味すら示してくれません


病院の院長にも「診察、治療したいけど暴れる犬に食べ物みせても意味ないよ。 やっぱり抑え込まなきゃだめだよ」
と言われ、「そうですね」としか返せませんでした



それでも、もっと学べば理解できるかも?!とセミナー受講を続けますが
ある日、参加者の1人が噛みついて触れないラブラドール(子犬期に木刀で殴られて躾けられていた)の
相談を講師にした時の解答に納得がいかずセミナー受講を止めます


*今なら解りますが、問題行動の理由が間違っているわけですから
改善方法を考えても無理があるわけです




食べ物で躾をする方法は子犬にしか使えないのかな?と思いながら
ベルに対しては押さえ込みなどの罰は与えなくなりましたが
いぜんとしてして「コラ」の声で鼻に皺が寄る
拾い食いしたら、凶暴化し触れない状況は続きます



そして月日は流れ、ベルが10歳の時
わたしは介助犬訓練士になるためアメリカの介助犬訓練士学校へ留学します


そこで信じられない光景を目の当たりにします


学校にいるゴールデンレトリバー達は手足が不自由な人達の指示に本当によく従うのです
犬達は楽しそうに落ちた物を拾ったり、ドアを開けたり、喜々として人の傍にいます



介助犬の使用者となる手足が不自由な人達は
暴れる犬を押さえ込む力がなかったり、リードを鞭のように使ったり、大きな声を出したりすることができません

なので押さえ込みやリードで叩く、大きな声で指示を出す、チョークチェーンでショックをかけて訓練するのではなく
食べ物と褒め言葉と愛情を報酬にして犬を訓練するのです


わたしは犬に 「人間が強い」 と教える必要がないことを実感します


学校の授業で犬のトレーニング理論も学びます
「 上下関係 」 「 リーダー論 」 「権勢症候群」などの言葉は一切でてきません


犬は「関連付けで行動を覚えること」 「動作を形作るシェイピングの方法」 「子犬期の恐怖経験はさせないこと」
など新しい知識を学びました。 


そして訓練は「食べ物」をつかい動作を教え、徐々に「食べ物」をなくしていく方法でした



わたしはアメリカの介助犬訓練を学ぶことで、今まで自分がベルにしてきたことが
間違っていたことにようやく気付きます



その3につづく







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犬の躾や訓練に体罰はいらない!! その1

先日プロフェッショナルで放送された訓練士

強制訓練をすることは知っていましたが、あそこまで酷いとは
自分より弱い立場の犬を一方的に殴る
思い出すだけで気が滅入ります


肯定する人が沢山出てくるのは予想できましたが


「あれだけ凶暴な犬なら体罰も仕方ない」

「殺処分されるよりまし」

「優しいだけでは躾はできない、時には厳しく」

など肯定はしないけれども一部体罰を容認する意見が多い事に
ショックを隠せません


私は「トレーナー・訓練士」と名乗り始めて
約10年になりますが、犬のトレーニングを学び始めたのは20年程前

この20年は特に「躾・訓練」が大きく変化した年だと考えています


なぜ体罰はダメなのか! なぜ犬を躾けるのに体罰は無意味なのか!
上手く要点をまとめることができないので
長くなりますが私の実体験を紹介したいと思います

皆さんの参考になれば幸いです



22年前、ゴールデンレトリバーのベルを家族に迎えました
その前の犬は雑種で庭に繋いで昭和の飼い方
初めて犬と密接に関わる生活が始まります


その頃、私は専門学校(京都)でドッグトレーニングを専攻し
週一で訓練所で実習したり、訓練所にインターシップに行くなどして
訓練の方法を学んでいました

入学時に教材として
鎖の首輪(チョークチェーン)と革のリードが支給され
チョークチェーンを使った訓練方法を学びました


その頃はトレーナーや獣医師、など犬に関わる人の殆どが

犬は上下関係があり
人間の指示を聞かない、噛みついたり、反抗するのは
犬が人間より上になってしまった
自分が人間のリーダーになってる

「権勢症候群/アルファシンドローム」 

アルファシンドロームの犬には
「人間が強い!」こと「人の下であること」を教えなければいけない


この考え方が蔓延していました


私もその教育を受けてベルを躾けました


ベルはとても穏やかな子でしたが
ブラッシングをしようとするとブラシに歯を当ててきました

ブラシをすることに反抗した!と
私はベルを押さえつけたり、ブラシの柄で口元を叩いたりしました
時には、鎖の首輪でブラシに口を近づける度にショックをかけました

また、リーダより前を歩いてはいけないと
散歩で前を歩くと、革のリードを鞭のように使い
ベルを打ちました

ベルが自分の思い通りにならない、言う事を聞かないと
押さえ込む・リードで打つ・首輪でショックをかけるを繰り返しました

犬が言う事を聞かないのは下にみられているから
人間の方が上だと教えなきゃいけないと考えていたからです

その結果、ベルが2歳頃になると
「コラ」という言葉で鼻に皺を寄せるようになります
*無意識にベルが言う事をきかず、押さえ込む時に
「コラ」と言っていたんでしょうね


そして「コラ」で鼻に皺を寄せるベルを時にはからかったり
時には歯向かった!と押さえ込む日々が続きます


事件が起きたのはベルが4歳頃
大晦日に鏡餅を咥えたベルを母が捕まえようとして噛まれます
今まで見たことない恐ろしい形相に私は怖くて手が出せず
鏡餅を食べ終わるまで近寄れませんでした

その後も何回か拾い食いをして
取ろうとすると噛まれたり、唸って近寄れない状態が続きます

その度に、私は
「ベルに舐められている。もっと厳しくしなきゃいけないんだ」と
更にベルに厳しくしたことを覚えています

でも一向にベルの行動は改善されません

こんなに厳しくしているのに、
食べ物が絡むとどうして凶暴化するのか?


悩んでいる時に
日本動物病院協会主催の
「しつけインストラクター養成講座」

がスタートします。アメリカから講師を呼び
今までと違う「飼い主が犬に教えるトレーニング」

当時勤務していた動物病院の院長にお願いして
大阪まで養成講座を受講にいきます
















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プロフィール

pup.apolo

Author:pup.apolo
愛媛県松山市で介助犬・聴導犬の育成、普及活動。家庭犬のしつけ教室を行っていますドッグフォーライフジャパンのブログです。
犬達が与えてくれる沢山の幸せ、喜びを活動日記を通してお伝えしていきます。

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